研究紹介 (奈良先端大 柴田直樹)

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ナビゲーションに関する研究

徒歩移動を含むオンデマンドバススケジューリング

効率的なバスの運行形態としてデマンドバスが注目されています.デマンドバスは,定時的な固定ダイヤを持たず,乗客の需要に合わせて動的にダイヤや経路を動的に変更するようなバスの運行形態です.交通空白地域の解消を目的にデマンドバスが導入されることがありますが,このような地域では元々公共交通の利用率が低く,またデマンドバスは通常の固定路線のバスよりも迂回が多くなる傾向があります.従って乗客 1 人あたりの運行コストが大きくなりがちであり,スケジュールの効率化が求められています.本研究では,ユーザの徒歩移動を含むデマンドバスのスケジューリングをリアルタイムで行う方式を提案しています.本手法では,バスの迂回が少なくなる乗客の乗降車地点をシステムが提案し,乗客の出発地・目的地と乗降車地点間は徒歩で移動します.これによりバスが細街路に入る必要性を削減するだけではなく,ユーザの待ち時間の有効活用や,乗降車が困難である地点への配慮が可能となっています.ユーザの乗車要求を受けて,サーバがユーザの徒歩移動範囲内のデマンドバスの迂回が少なくなる乗降地点を探索し,ユーザにその乗(降)地点まで(から)の徒歩移動を案内するために,既存手法であるADARTWを拡張した手法を提案しています.

発表論文等

  • 政野 博紀, 柴田 直樹, Juntao Gao, 南 和宏 : 徒歩移動によるオンデマンドバスルートスケジューリングとシミュレーションによる評価, ITS 研究フォーラム 2017.

被災地での救援物資配送スケジューリング

熊本地震などでは,各避難所に割り当てる物資の量に偏りがあり,十分に救援物資が届かないといった問題や,逆に一つの避難所に多くの救援物資が届いてしまい,最終的には廃棄しなければいけない状況に見舞われたことが報告されています.災害発生後,救援物資配送計画を立てるためには,避難所となっている場所からの様々な情報の入手が必須ですが,避難所間やトラックドライバー間,そして物資を積み込む拠点において物資に関する情報の共有がこれまではなされておらず,どれくらいの量をどの避難所に配送すればよいか不明瞭であるという問題点も指摘されています.本研究では,物資配送の問題と配送拠点での物資の不足やトラックの不足問題を解決することを目的とし,配送計画の中で,避難所への物資配送に加えて,拠点間での物資やトラックのリバランシングを行うことで,道路の寸断や物資の偏りに対応する手法を提案します.また,全避難所に対して充足率を単純に最大化すると,規模の大きな避難所のニーズは満たされる一方,規模の小さな避難所のニーズが無視されがちな問題があり,これに対して本研究では,充足率が低い避難所に対して物資を優先的に配送するためのパラメタを設けることにより,避難所間の公平性を保つ仕組みを提案しています.

発表論文等

  • 田中 雄大, 川上 朋也, 柴田 直樹, 柴田 義孝 : 被災地におけるリアルタイム性を考慮したリバランシングを実現する物資配送計画方式, 第25回情報処理学会マルチメディア通信と分散処理ワークショップ (DPSWS 2017) 論文集, pp45-52.

交通信号制御方式 Green Swirl

渋滞の発生原因は複数ありますが,そのうちの一つは合理的でない交通信号サイクルです.これまで多くの研究がなされてきましたが,実用化に至るまで研究された方式としてGreenWaveがあります.これは,車群の到着直前に信号が青になるように,交通信号のタイミングを適切にコントロールする方法です.欧米中多くの都市で既に導入されていますが,期待されたほど結果が良くなく,これまで多くの問題が発見されています.本研究では,GreenWaveの改善を目指し,車両走行効率向上を目指した信号制御方式および経路案内法を提案しています.本方式では,複数のGreenWaveを都市を取り囲むように渦巻き状に発生させ,巨大な循環道路を構築します.また,それぞれの運転者に最も良い経路案内をする一方,交通量を分散させるための独自の経路案内手法を用います.交通量の変化に応じて,車両をGreenWaveとそうでない道路に振り分け,都市の中心部から交通量を郊外に吸い出すことで交通量を分散させ,また都市の中心部の交通渋滞を緩和しつつ,車両の走行時間を短縮させることができ,燃費の悪化を招くこともありません.

発表論文等

大型駐車場内での経路案内

本研究では,大型立体駐車場に焦点を当て,車車間や路車間の通信を用いたナビゲーションシステムでショッピングセンター駐車場における渋滞を解消する手法を提案しています.駐車場内にセンサやゲートを設置し,入場口の掲示板で空車スペースが存在するゾーンをドライバーに提示する方式が実用化されていますが,導入コストの高さや,普及率の問題が考慮されていなかったり,同じ情報を全てのドライバーに与えるため,多くのドライバーが同じ場所に向かってしまい,新たな渋滞を作ってしまうという問題がありました.提案する手法では,場内の車両から送信されたデータを基に,サーバが駐車場内の情報を入場車両に送信し,その情報を基に車両が自律分散的に駐車待ち時間の期待値が最小となる経路を計算し,ドライバーに提示することで短い時間でで駐車ができるように案内をします.専用の機器が不要で,市販の無線LANやパソコンでシステムを構築することができるため,システムの導入コストを抑制することができ,実現可能性の高い手法であるといえます.

発表論文等


暗号通信とブロックチェーンに関する研究

MANETを利用したモバイル決済方式

本研究では,被災地や携帯通信網の整っていない地域において利用可能な,MANETだけを利用するモバイル決済方式を提案しています.銀行のサーバなどに直接アクセスできないことを前提とし,手形の裏書きに似た方式を利用することで,顧客が商人から物品を購入する際の支払いを保証します.それぞれの顧客は,あらかじめ知り合いによる取引を一定の額まで保証する契約を銀行と結びます.商人から品物を受け取った顧客がもし代金を支払わなかった場合,その取引を保証した複数の顧客が代わりに支払います.もしその知り合いも支払いを拒否した場合,知り合いの知り合いが保証することになります.知り合いの知り合い,そのまた知り合いはたくさんいますので,責任を分散することで誰も支払わない可能性が低くでき,また不履行が起こった場合に肩代わりする額が少なくてすむ方式となっています.複数レベルの知り合いの状況を素早く調べるための効率的なプロトコルを提案しています.また,各ユーザがこれまでの取引履歴を改竄できないように,ブロックチェーンを利用しています.

発表論文等

ビザンチン耐性を有するMANET用ルーティングプロトコル

ビザンチン攻撃は,攻撃者自身がネットワークの経路に入り込み,攻撃者の中継するパケットのいずれをも破棄したり改竄できることを想定します.ネットワークの攻撃モデルの中で,攻撃者が最も強力であり,最も悲観的な想定ですが,本研究ではこのような想定の下でも正常に動作するようなMANET用のルーティングプロトコルを提案しています.提案するプロトコルは,善意のノードが全てネットワーク中で連結されたトポロジを維持していることを前提とし,善意のノード間でのパケット配送を保証することを目的としています.各ノードは経路中の前後のノードの通信内容を立ち聞きすることができるという前提で,経路中の前後のノードを監視します.隣接するノードが攻撃者であることを検出した場合,攻撃者のノードではなく,善意のノードと攻撃者のノードの間のリンクをネットワークから排除します.これにより,攻撃者が経路に組み込まれることを防止する一方,攻撃者が隣接する善意のノードに対する虚偽の告発を行った場合にも通信には問題が起こりません.

発表論文等


並列処理に関する研究

マルチコアプロセッサシステムにおけるノード故障を考慮したスケジューリング

携帯電話などで動作するモバイルアプリケーションの多くが,多数の計算機が接続されたクラウドシステム上で動作するサービスを利用する形で実装されています.このようなサービスに信頼性を持たせるためには,計算機の故障に備える仕組みが必要となります.一方,クラウドシステムで利用されるプロセッサは,そのほとんどが1 つの半導体チップ上に複数のプロセッサコアを実装したマルチコアプロセッサであり,一つのチップで独立した複数のタスクを並列で実行します.電源故障等により,マルチコアプロセッサ上で動作している全てのタスクが同時に停止すると,処理を継続するために実行されていた複数のタスクを同時に回復する必要が生じます.本研究では,このような故障発生時に高速にチェックポイントからのリカバリが可能なようにタスケジューリングを行う手法を提案しています.1つのマルチコアプロセッサにタスクの割り当てが偏ることを防ぐために,故障発生時に影響が大きなタスクを別のマルチコアプロセッサに割り当てます.また,故障が発生しない場合のオーバヘッドが少ない利点があります.

発表論文等